神奈川県 N様
中村様
今回も大変お世話になりました。
いつもながらの細やかなお気遣い溢れるお手配のおかげで無事帰国しました。
羽田発ドバイ経由でのローマ到着でしたが、空港までの送迎、空港での車いすサポートなど至れり尽くせりで、高齢の家族もイタリアに着くまでに体力を大きく消耗することなく、有難かったです。
ローマは大変な賑わいでした。どこに行くにも便利な立地のホテルで、「ここに滞在してローマをゆっくり見るのもいいね」と話していたのですが、美しくなったトレヴィの泉のあまりの人の多さに圧倒されて、早めにホテルに引き上げることになりました。
翌日は、イタリア人ドライバーさんの運転でヴィテルボ、チヴィタ・デ・バーニョレッジョ展望台を経て、オルヴィエートへ。ヴィテルボは、ローマ教皇のコンクラーベが行われる街。小さな街ですが、美しい古い街並みが残り、伝統の陶器を見たり、お茶したり、久しぶりのイタリアの街散策に満足でした。日本語を勉強されているドライバーさんは「あれがローマ時代の水道橋!!」と、一生懸命ご案内くださいました。
そして、天空の城ラピュタのようなチヴィタの街を望む展望台。最初はチヴィタの街に入ることも考えましたが、私たちには展望台から見せて頂くだけで十分、オルヴィエートを望む展望台からの眺めも絵画のような風景で素敵です。
オルヴィエートのお宿は旧市街の中心部にとって頂いたので、観光も食事もとても便利。快晴でしたが、日中10度に届かない気温。用心して持っていった防寒の服が役立ちました。荘厳な大聖堂を見た後は、近くの職人通りを散策。かわいいバッグが並ぶマリアさんのお店に吸い込まれ、マリアさん手作りのバッグを購入。まだ学校に通っている息子さん、娘さんお二人を育てながら、日々、バッグ作りに勤しまれているとのこと。店内に多くの奇麗な色合いの皮が沢山吊るされていて、いかにも職人工房という感じのお店でした。
そしてオルヴィエートからスペッロ、トレヴィを経てスポレートへの移動は、まさに「イタリアの緑のハート、ウンブリア」を満喫した一日になりました。スペッロはドライバーさんが街の一番高いところまで連れて行ってくださり、そこから、花が随所に飾られ、ウンブリア平原とオリーブ畑、ブドウ畑などを一望できる展望ポイントが何か所もある道をのんびり下り、教会を見せて頂いたり、ランチしたり、最高のイタリアの小さな美しい街歩きになりました。ランチも素敵なお店をご案内下さり、ありがとうございます。モンテファルコというウンブリアのワインを頂きました。ウンブリアのお花から作られた香水のお店もあり、旅の前半からお土産を色々買ってしまいました。
スポレートのお宿は、要塞近くの高台にある昔の貴族の館を改装したホテルで、お庭がきれいで、お部屋の窓からの眺めもとても良かったです。スポレートも山の斜面に作られた街で坂道だらけですが、いち早くバリアフリー化に取り組み、エスカレーターが3本あるというので利用してみました。ただ、これがなかなか大変でまず乗り場を探すのに一苦労。街の一番下から最上部の要塞までつなぐ2番のエスカレーターは地下道のようなところに設置され、何か所かある途中駅のような乗り場では、まずエレベータで地下に降りてからエスカレーターに乗ります。このエレベータの乗り場が特に案内があるわけでもなく、地図上で多分このあたりだろう、というところで付近を見回すとエレベータがあったのでとりあえず乗ってみたらエスカレーターがあった、という感じです(案内が適当なのは如何にもイタリアらしく、私たちも適当に探すに限ります)。
でも、確かにこれを使えば、街の最上部の最も眺めの良い要塞まで車いすでも乳母車でも上がれます。要塞からのウンブリア平原の眺めは素晴らしいです。前日に訪れたトレヴィもよく見えました。そして、そこから大聖堂に降りるには3番のエスカレーター。こちらは地上にあるのですぐわかります。大聖堂のそばにレストランがあったので、そこでランチ。昨日に引き続き、モンテファルコのワイン。そして黒トリュフのパスタ。こんなに沢山の黒トリュフを頂くことはもうないでしょう。
翌日のスポレートからキャンティ街道ドライブは、心優しいドライバーさんのおかげで数々の絶景ポイントを見せて頂きました。ドライブの最後に、「今日訪れた中でどこが一番良かった?」と聞かれ、答えに窮していたら「そうだろう。全部素晴らしいんだよ!!」と一言。仰る通りで、広大なブドウ畑をめぐる一日のドライブそのものがすべて楽しかったです。ランチを予約して下さったお店はお肉屋さん併設のレストラン。シンボルマークらしきイノシシが店頭に鎮座し、天井からは沢山のハムが吊るされ、ワインはワインカードを買うと料金の範囲内でさまざまな種類のワインが自由に飲めます。生ハム、牛肉タルタルステーキなどお肉屋さんならではのお食事を楽しみました。
そして到着したポンタッシェ―ヴェの農園では、とても元気のよい素敵なレセプションの女性と日本人ソムリエTさんが迎えてくださいました。Tさんのご案内でのワイナリーツアーは私たちにとって大変興味深いお話ばかりで、予定の2時間はあっという間でした。ブドウ畑の説明から始まり、こちらの農園が取り組んでおられる無農薬、無肥料、無添加のワイン造りのお話は、大病の後、お医者様の指導で食事や食材の選び方から生活を見直して、イタリアに来られるまでに健康を回復した私たちが深く共鳴するものでした。
そして、こちらのお食事はどの食材も素晴らしく美味しかったです。ラーナツアーズ様のHPでは、フィレンツェからの日帰りツアーで紹介されていますが、ここは通常のワイナリーツアーとはちょっと違います。イタリアのスローフード運動も知ることができるアグリツーリズモ体験としてぜひ宿泊も、というのが、滞在してみての私たちの実感です。教会の鐘の音を聞きながらオリーブ畑、ブドウ畑の間の小道を散策し、レオナルド・ダ・ヴィンチ設計の風車を眺め、丁寧に作られた美味しいお食事を楽しみ、という贅沢な時間を過ごさせていただきました。
最後の滞在地フィレンツェは、ヴェッキオ橋のすぐそばのホテルをお手配頂き、街歩きには本当に便利で有難かったです。屋上のバーからの大聖堂の眺めも良かったです。ウフィツィ美術館も予約をしていただいたおかげで直ぐに入れました。修学旅行のシーズンらしく、高校生らしい若者たちが街全体に溢れていましたが、ローマほどの混雑ではなく、中村様がブログで紹介されていた共和国広場のカフェに入ったり、まだ見学したことのなかった教会を訪れたり、ゆったり街散策を楽しみました。
フィレンツェ2日目には、ホテルでタクシーを呼んでもらい、サンミニアート・アル・モンテ教会へ。そこから、フィレンツェの街を眺めながら歩いて、ミケランジェロ広場を経て戻りました。以前も歩いた道ですが、今までの中で一番お天気が良く、ヴェッキオ橋までの川沿いの小道も職人さんの色々なお店があって面白かったです。
コロナ禍を経て、年も重ね、イタリアをもう一度訪れるのは無理かもしれないと考えていましたが、夫婦でフィレンツェの街を歩き、ヴェッキオ橋からの美しい夕暮れの風景を眺めることができ、中村様には感謝してもしきれません。個人旅行だからこそ可能な旅でした。そして「イタリアに行きたい」という思いがここまで私たちの心と身体を支えてくれたように思います。今回が最後かも、と言っていたのに、既に夫はイタリアのガイドブックをまた読み始めています。
これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。
そして中村様のお仕事が益々のご発展を遂げられることを心よりお祈り申し上げます。